もっさんのブログ

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「非認知的能力」を子どもたちに 学級通信 その④

前回までの内容・・・

 これまで、ステキな大人になり幸せに暮らすための重要な力として世界的に研究されている「非認知的能力」を紹介しました。この力はテストでは測れない力の一つです。その力のなかでも「自制心(自分をコントロールする力)」の身につけ方について書いてみました。自制心の「行動面」ということで、忘れ物を取り上げ、忘れ物をしてしまう自分の行動の癖を理解し、自分に合った対策を試行錯誤して見付けていくことについて書きました。

「非認知的能力」はどうやってつける?自制心の「感情面」

 

 今回は、自制心の「感情面」について書いてみたいと思います

 (またまた長いので、お付き合いいただける方はよろしくお願いします!)

 怒りを鎮めたり、感情をコントロールしたりすることは、自分のパフォーマンスを上げるだけでなく、周りの人のパフォーマンスも上げることができます。とっても大事なことです

 例えば、「発表会まではとてつもなく練習をしてきて、自信たっぷり。でも本番は緊張でいつもの半分も力が出せなかった…」なんて経験はありませんか?僕は小さい頃からそうで、先生になってからもそうで、例えば懇談会である程度リラックスして話せるようになったのはここ数年のことです(笑)トップアスリートはみなさん、感情面のコントロールを身に付けているようで、だから高いパフォーマンスを発揮できるようです。

 ここでは僕がいいと思って自分を改善し、子どもたちと接するときにも、子どもたちが実践するためにもよく伝えている方法を中心にご紹介してみます。

 

 順天堂大学医学部教授の小林弘幸さんが「自律神経を整える 人生で一番役に立つ言い方」という本を出版しています。この本が僕にはとっても合っていました。題名は「言い方」と言っていますが、それだけにはとどまりません。

 医者の一言は患者の病と闘う気持ちを上げもするし下げもします。心ない言い方で病気が悪化することもあれば、素敵な言い方でどんどん前向きになり病気が治ってしまうこともある。そんなご経験から「言い方」というテクニックだけでなく、よい言い方が考えつき、よい言い方になるための心の状態を整えることの大切さを説いています。「練習は良かったのに発表会では緊張してうまくいかない」ということは、発表のやり方の問題ではなく、そのための心の状態の作り方がポイントですよね。

 小林先生は、自律神経をもとにして話をしています。簡単に言うと、自律神経は、

 

交感神経…活発さ、血管や筋肉が収縮   副交感神経…リラックス、血管と筋肉の弛緩

 

のバランスを整えています。このバランスが整っている状態を作りだすことが大事ということです。どちらかが優位になっているとパフォーマンスが下がってしまう、ということです。

 タクシーの運転手が道を間違え、「すみません、Uターンします」と言ってきたとき。機嫌がよいときは、「あぁ、いいですよ。」と軽く流せるのに、イライラしているときは「ったく、急いでいるのになぁ。」とつい、相手を責めてしまった。例え機嫌がよかったとしても、約束の時間に遅れそうであせっているときや、体調が悪い場合も、ネガティブな言い方になることが多いはず。

 なぜこのような気分や状況にムラが生じるのかというと、実は「期限」「時間的余裕」「体調」などはすべて、自律神経を乱す要因だからです。つまり、様々な要因によって自律神経が乱れると、人はいろいろな言い方をしてしまうのです。…

やっかいなことに、自律神経の乱れは伝染します。自律神経が乱れ、イライラし、よくない言い方が出たとします。するとそれを聞いた相手の自律神経も乱れ、相手もイライラし、よくない言い方で返してきます。すると、またさらに自分の自律神経が乱れて…という悪循環におちいります。

 逆にいえば、自分さえ乱されなければ、相手の自律神経も整えることもできる、ということです。相手がイライラする言い方でも、自分の自律神経を整えることができれば、相手によい言い方で返すことができ、相手の自律神経も整えることができる…僕もできるだけ意識していることです。

 子どもと接するときも同じで、大人の自律神経が整っていると、いい伝え方もでき、子どもたちもいいふうに改善していく・・・ということも起きやすくなります。子どもが見ている身近な大人ということで、僕もできるだけ自律神経の整っている大人でいて、その姿を子どもたちに見せたいと思っています。

 さて、自律神経を整えるための方法は、本の中でも様々に紹介されていますが、すぐにできそうなものが掲載されていたので、アンガーマネジメントと、セカンドステップという攻撃性減退プログラムの方法・方略も含めて、いくつかご紹介します。

●ゆっくりはなす

…ゆっくり話すだけで、落ち着きます。言葉に重みが出て、相手に納得してもらえます。

●6秒数える

…感情が落ち着くまで、まず黙ってこらえてみる、ということです。「すっ」としてきます。

●自分の感情を自覚する

…「今怒っています」「今緊張しています」というだけで、半分くらいは落ち着きます。子どもたちは怒っているとき、自分の状態が見えていないことが多いです。落ち着いているときに、怒っているときに体のどこが熱くなるか話してみてもいいです。

●キーワードを決める

…「イライラ虫が出ている」「ブラック〇〇ちゃんが出てきているよ」などのキーワードで自覚できるときもあります。

●キーアイテム・セーフポイントを作る

…イライラしている時に落ち着くぬいぐるみ。また、「このぬいぐるみを持っているorこの場所にいるときはイライラをこらえているから話しかけないで」という合図を作るということです。

●場所を変える

…イライラしたときには、その原因となる場所から離れることです。

●深呼吸をする(1:2呼吸法)

…深呼吸をすると、交感神経優位の状態から改善されやすくなります。1:2は、例えば呼吸は3秒吸って6秒で吐く、といったことです。

●体のリズムを知る

…朝方や夜型、食前食後、天候など、自分の体に合った集中できるタイミングで物事に取り組むことです。感情がよいタイミングも、これで見つかるときもあります。宿題をやる時間を変えてもいいですね。

 

 今回の話の中では少しずれますが、本の中では「意表をつく」「まず褒める」など、素晴らしい方法も紹介されています。よろしければ一度手に取ってみてください(川本のを貸し出しも可能です)。

 

 いずれも、子どもたちといろいろと試してもらえたら嬉しいです。一番いい方法はなく、その人その人、その子その子によって合うものが異なります。結構頑張って取り組んでいる大人の姿が子どもは好きで、僕も頑張っていると子どもも「頑張ろう」って思ってくれることが、クラスでは多いです。

 以上ですが、前回と同様で、自分の感情を自分でコントロールできるようになることを目指したいです。これも根性ではなく具体的で自分に合った上記の「方略」がカギとなります。

 

…すみません、結局「まとめ」までいきませんでした…。また次回、書いてみたいと思います。