最初に言っておくと、僕はSNSやICTのメリットも実感しているし、結構使いこなせる。SNSで人生を救われている子もたくさんいる。それを踏まえても、大きな課題があるって思う。
●先日呼んだこの本。この本自体はあまり好きではなかった。量的データで結論付けていることが、「そうでもないと思うけど」と思うことがたくさんあった。若者と言っているけど、日本人結構みんなそうだなって思うこともたくさん。でも、一考する価値はある内容だった。
その中で、今の若者の特徴をこんな風に挙げていた。
・「目を付けられる」のは、いいことだって嫌
・匿名にしたとたんに意見が出る
・「ほめる」は圧
・例がないとできない(意図が伝わらない)
・自分で決めず、皆で決めるかインフルエンサー頼り
・場を乱さないために演技する
・上司からの質問を同期に質問する
・究極のしてもらい上手
今の若者(今に限らないけど若い時代)は、空気を読む文化に対してとてつもない順応性を求められて育っている。他者からの目もびくびくしながら生きていることが書かれている。他者との関わりについて、その平穏を保つためのスキルは格段に高いと思う。
きっと互いに気を遣い合う小・中学生時代を過ごしたろう。その一端を担うのはSNS。SNSはコミュニケーションにものすごく気を遣う。まだまだ未熟なコミュニケーションの時期に、どうしてもマウントを取ろうとしあってしまう思春期。互いの関係性に苦しめられている子どもたちを見ると、子ども時代をこんなことに大半のエネルギーを注ぎ、場合によってはドロップアウトしてしまうのが本当にかわいそう。こういう互いをけん制しつつ、無難なコミュニケーションの取り方を学習している様子を見ていると、そりゃ高校大学新卒生は、杭として出ないようになるだろうな(良いことでさえ「杭」になる)。そしてそれに悩んでいる保護者の様子も見ていると、なんだか子どもたちにSNSは必要ないんじゃないかなと思う。子どもはSNSと上手になって付き合えないと思います。適正年齢がもっとずっと上だと思う。
問題は、学校よりも家庭。学校はある程度コントロール下にあるからいいのだけど、家庭にいる時間が問題。かといって、一家庭で努力しても、友達が持っていたら自分の子だけは許さないなんでほぼ不可能。だから、やるなら学校単位や自治体単位で家庭に働きかける強力な思想やロジックが必要。そんなことできるのかな。