「自分の強みを見つけよう~8つの知能で未来を切り開く」を読んで
マルチプル・インテリジェンス(多重知能)という考え方は、以前から知っていたが、この本を読んで納得した部分を書き記すことにした。
従来のIQは知能を一つの尺度で記したもの。
学力テストもそうだが、どうやっても知能の一側面しか測定できていないのに、あたかもそれが全てのように感じてしまうことが問題点だった。
そんなことはおかしい!ということで、アメリカのハワード・ガードナーが知能を8つの側面からとらえたマルチプル・インテリジェンス(多重知能)理論を提唱した。
マルチプル・インテリジェンス理論では、知能は8つの側面がある。
同じ課題でも、人によって課題達成へのプロセスは異なる。8つの知能のうち、自分に秀でているものを使って課題達成を試みることができる。
例えばフルマラソン完走を目的としたら。
身体・運動的感覚知能が高い人は、とにかく走ることを体に刻み込むかもしれない。
音楽・リズム知能が高い人は、音楽を聴きながらリズムに合わせて走ると、楽に長く走れるのかもしれない。
対人的知能が高い人は、誰かと一緒に練習に取り組むことがモチベーションになるのかもしれない。
こんな風に、一つの課題を達成するのに、人それぞれのアプローチがあっていいし、得意な知能を生かしたほうが達成に近づきやすくなる。
また、この知能は得意なものを伸ばせば伸ばすほど、どんな課題でも活用・応用して達成に近づきやすくなるので、とても有効だという。フルマラソンを例に考えると、自分の得意な知能を極めれば、他のことでもなんでも応用できるのがイメージできる。苦手なものを補うことよりも、得意なことを伸ばすことにメリットがというのは、こういうことだったのだ。
これまで、「テストや学力として考えられて出てくる点数があるけども、その子その子にいいところがある。得意なことがある。」そんなことを言ってきた人が大多数だろう。また、「得意なことを伸ばせばいいんだよ」とい言葉もよく言われる。いずれにしても、実際その意図は、自己肯定感や自尊心を損なわないために言われてきたところが大きかったように思う。
でも、このマルチプル・インテリジェンス理論で考えていくと、それはただの自己肯定感・自尊心を損なわないためのものではなく、本当にテスト・学力だけで測れていない知能があり、得意なことを伸ばすことが他の様々なことに活用・応用できるという、とても心強く実際的な後押しになる。
この考え方はとても素敵だし、とても生かしやすくなるし、行きやすくなるように感じる。
さて、今の学習指導要領のいうところの評価はどうだろうか。
まずそもそも、言語・語学知能が高い子が◎を総ざらいしていくのが学校文化。この時点でかなり問題がある。ここを改善するには、先生たちの評価を変えるために時間を確保しなければ変わらない。正論だけでは、多様な評価は行われない。
また、
■知識・技能
■思考・判断・表現
■学びに向かう人間性
というつっこみどころ満載の3観点。
この3観点で評価された人は、何が得意で、どうやって改善すればいいかわかるのだろうか。まず無理。
評価を受けても、受け手が改善の仕方や方向性がわからないような評価は、「死んだ評価」と言わざるを得ない。何のための評価だろか。